モオツァルト
CDで小林秀雄の談話を聞いて、本箱の後ろの段に隠れていた「無私の精神」(文藝春秋)を引っぱり出す気になりました。目当ては「モオツァルト」。電蓄とSPレコードと何冊かのスコアでモーツアルトを鑑賞した小林は、この小論で39、40、41番のシンフォニー、フィガロの結婚、ドン・ジョヴァンニ、コシ・ファン・トッテ、魔笛などのオペラ、弦楽カルテット「ハイドン・セット」、ト短調クインテットなどに触れ、ト短調クインテットのアレグロの譜面を挙げて「疾走するかなしみ」を語っています。私は「疾走するかなしみ」は、40番ト短調シンフォニーの冒頭部分の評語として理解していたので案外でした。年譜を見ると、この作品は昭和18年に着手され21年に発表されています。小林は18年12月から19年6月まで単身華中・華北を旅行してもいました。戦争末期と戦後の混乱期の行動と観照の生活。
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